常葉菊川が初V/センバツ

- 初優勝を飾った常葉学園菊川の森下監督は笑顔で宙を舞う(撮影・藤尾明華)
<センバツ高校野球:大垣日大5-6常葉菊川>◇3日◇決勝
常葉学園菊川(静岡)が3試合連続逆転勝ちで初の頂点に立った。希望枠で春夏通じて初出場の大垣日大(岐阜)に先制を許したが、1点を追う8回裏2死から3安打で2点を奪い6-5と逆転した。今大会5試合で犠打はわずかに1しかなく、最後まで貫いた強攻策が終盤のミラクル劇を呼んだ。静岡県勢としては、森下知幸監督(46)が浜松商の主将として優勝して以来29年ぶり4度目になる。
決勝もまた、逆転だった。同点に追いついた8回裏2死一、二塁。常葉学園菊川の1番高野敬介(3年)が、初球の高め直球を中前にはじき返した。大垣日大の中堅からノーバウンドの返球が本塁へ。二塁走者の石岡諒哉(3年)が転がるように捕手を避け、ぎりぎりのタイミングでホームインした。「ここで決めるしかないと積極的にいった。いい当たりじゃなかったけど抜けた。逆転できると信じていた」。愛称“おやじ”が冷静に、初優勝を決めた勝ち越し打を振り返った。
高野の打席では、スタンドの盛り上がりが最高潮に達していた。ヒッティングのテーマ曲は「ガラスの十代」だが、アルプス席では一斉に「かっ飛ばせー!お・や・じ」のコールが響いた。愛称は、かぐや姫など70年代のフォークソングを好むことから名付けられた。落ち着いた態度と頼りになる打撃はピッタリ。初回からリードを許していたが、精神的な余裕があった。
準々決勝、準決勝と終盤に逆転した。試合前に森下監督は「失敗しても気持ちは押していけ。後半勝負なんだ」と伝え、最後までノーバント野球を貫いた。2点を追う3回無死一、二塁でも、逆転した8回も強攻だった。5試合で犠打はわずか1。チームの共通認識が明確なため、たとえ強攻策が失敗しても「次がある」と気持ちを切り替えることに慣れている。
2回途中から救援したエース田中健二朗(3年)の粘投が、打線の奮起を引き出した。7回1/3で1失点。同点打を放った石岡は「健二朗を胴上げ投手にしたかった」と燃えていた。大会前に「ピンクの手ぬぐい王子を目指す」と宣言していた左腕。「試合に気持ちが入っちゃったので」と、バッグから出すのを忘れるほど気合が入っていた。
森下監督が「選手がやりたい野球をやっている」というチームが、ついに頂点に立った。もう誰にも「じょうよう」とは呼ばせない。【斎藤直樹】
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