関西川辺が77球完封/センバツ

- 創造学園大付を完封し、ガッツポーズで喜ぶ関西・川辺と捕手三角(共同)
<センバツ高校野球:関西12-0創造学園大付>◇30日◇2回戦
2回戦の残り3試合が行われ、ベスト8がそろった。関西(岡山)は背番号5の急造投手・川辺郁也(ふみや=3年)が、わずか77球と球史に残る球数で、創造学園大付(長野)を完封し、5年ぶり8強入りした。希望枠の大垣日大(岐阜)と、21世紀枠の都城泉ケ丘(宮崎)との初出場対決は、大垣日大に軍配が上がった。広陵(広島)は北陽(大阪)を5-3で下し、優勝した03年以来の8強進出を果たした。
無欲が大記録を呼んだ。お立ち台で球数を伝えられると川辺は信じられないような表情を浮かべた。「えっ? 77球ですか? 本当ですか」。9回完投で77球は80年以降のセンバツ最少投球数。本職は内野手で背番号「5」が球史に残る偉業を達成したが、「本当は(投手より)野手の方が楽しい。うれしいですけど、気持ちがわいてこないです。自分じゃないみたい」と苦笑した。
冷静だった。変化球主体で低めにボールを集め、打者を翻ろうした。走者を出した7、8回には巧みなけん制でアウトを重ね、7イニングを打者3人で仕留めた。三角武成捕手(3年)は「テンポの良さが川辺の持ち味なんで(返球後は)すぐに座ってサインを出した」と省エネ投球を“アシスト”した。川辺は打撃でも先制打を含め2安打。「今日は打つ方は考えてなかったんですけど」と話しながらも、攻守で勝利に貢献した。
投球練習は週に1度で30球ほど。甲子園入り後、1度もブルペンに入っていない。現在はエース中村将貴(3年)に続く“2番手投手”だが、昨春の県大会決勝倉敷商戦、秋の地区予選一宮戦と2度もノーヒットノーランを達成。「むちゃくちゃ緊張した」という大舞台での先発起用だったが“快投”を演じた。
「あの日」の悪夢も振り払った。ちょうど1年前の3月30日は、早実との引き分け再試合の日。2日間にわたる死闘の末、9回逆転負け。涙で甲子園を去った悔しさを胸に刻んだ。
前夜、宿舎には早実との試合に出場したOBが駆け付け「オレらを抜け」とゲキを受けた。思いは結実し、02年以来5年ぶりのベスト8進出。次戦も先発の可能性はあるが、川辺は「それほどピッチャーに対してのこだわりはないんで」。無欲のヒーローは、1歩ずつ初の頂点までの道のりを歩んでいく。【益子浩一】
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