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宇部商、伝統のミラクル勝利/センバツ

9回裏宇部商無死、林は左翼ポール直撃のサヨナラ本塁打を放つ。投手は古谷
9回裏宇部商無死、林は左翼ポール直撃のサヨナラ本塁打を放つ。投手は古谷

<センバツ高校野球:宇部商4―3日大藤沢>◇25日◇1回戦

 これが宇部商のミラクル魂だ! 宇部商(山口)が同点で迎えた9回裏、林裕行(2年)の左翼ポール直撃のサヨナラ本塁打で日大藤沢(神奈川)を4―3で破り、2回戦進出を果たした。玉国光男総監督(58)から引き継いだ中富力監督(41)が伝統の「ミラクル勝利」で甲子園初勝利を決めた。センバツ初出場の小城(佐賀)は帝京(東京)に1―9で敗れ初戦敗退に終わった。

 春の風に乗って打球は高く上がり左翼へとグングン伸びていった。左翼のポールに当たって跳ね返る。サヨナラだ。宇部商ベンチから全員が飛び出して、ホームに戻るヒーローを迎え入れる。9回裏、先頭打者の林のひと振りが宇部商にサヨナラ勝利をもたらした。「球種は何でもいいから初球を狙いました。最初はファウルと思ってました」。林の高校初アーチは生涯忘れられない1本になった。

 2打席目では内野ゴロで先制点を入れ、3打席目では3点目を挙げるスクイズも成功させた。この日3打点と、秋の公式戦9試合で入れた打点と同じ数を1日でたたき出した。もともと守備を買われて2年生ながらレギュラー入りした。打撃ではバントなどのつなぎ役に徹してきた。「まさか林が本塁打を打つなんて考えられなかったです」と後に続く8番の野口直人(3年)をはじめ、ナインもびっくりの一打だ。

 「ミラクル宇部商」にあこがれて宇部商に入った。「最後に逆転するのがすごくてその野球をやりたかった」と林。その礎を作った玉国総監督は今、選手と同じ宿舎に泊まり、練習で指導する。練習で玉国総監督から受けた「利き腕が早く返っているので、センターを狙って打て」とアドバイスが大舞台で生きた。「利き腕が返っていればファウルになっていた打球。うまくボールを乗せて打てましたね」。スタンドで見ていた玉国総監督は頼もしい2年生に笑みを浮かべた。

 この勝利が山口県勢の甲子園100勝目。甲子園初采配の中富監督にメモリアル勝利をプレゼントできた。「甲子園には魔物がいるけど、今日は女神がいました」と中富監督もミラクル初勝利に感激しきりだった。伝統の「ミラクル宇部商」の魂を受け継いだナインがこれからさらに甲子園をわかせる。【前田泰子】

 ◆林裕行(はやし・ひろゆき)1990年(平2)8月9日、山口県出身。小4のとき厚南少年野球で野球を始める。厚南中から宇部商に入り、昨夏からレギュラーに定着した。172センチ、62キロ。右投げ右打ち。

 玉国光男総監督(ネット裏のスタンドの上の方で観戦)「(先発の)高橋は落ち着いてよく投げましたね。中富監督の采配も良かったと思います。スクイズもノーマークで良かった。私がやっていたときから関東のチームには負けたことがないので『自信をもってやれ』と選手には言いました」


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