帝京大田が20K、江川とタイ/センバツ

- 小城戦で江川に並ぶ歴代2位の20奪三振を記録した帝京の大田(撮影・藤尾明華)
<センバツ高校野球:帝京9-1小城>◇25日◇1回戦
甲子園に怪物が再来した。帝京・大田阿斗里投手(3年)が、73年の江川卓(作新学院)に並ぶ歴代2位の20奪三振をマークした。小城(佐賀)戦に先発し、自己最速タイ147キロの直球と変化球で7者連続を含む毎回三振を奪った。味方の失策で1点を失ったが、4安打に抑えて9-1で完投勝ちした。早大に進学する斎藤佑樹投手(18)を擁して優勝した昨夏の早実に続く2季連続の東京勢Vに向けて、最高のスタートを切った。
最後はストレートと決めていた。大田が投じた154球目。フルカウントからの直球に、小城の猪村(3年)のバットがクルリと回った。怪物江川に並ぶ大台の20奪三振。グラブを右手でポンとたたき、表情を緩めた。甲子園のカクテル光線を186センチ、91キロの全身に浴びて「初めてのナイター。ほかの球場とは比べものにならないくらいムードが良くて気持ち良かった。楽しかったです」と笑顔がはじけた。
序盤から飛ばした。初回の4球目に自己最速タイとなる147キロをマークすると、2死から圧巻の奪三振ショーが始まった。3番平山を145キロの直球で空振り三振に打ち取ると、3回終了まで7者連続三振を決めた。「6個までは数えていたんですけど…」。江川の8連続に続く記録にも過度の意識はなかった。落差のあるフォークとのコンビネーションで三振の山を築いた。「三振にこだわりはない。最後まで投げ切れたのがうれしい」。
昨夏の悔しさが大田を変えた。甲子園準々決勝の智弁和歌山戦。4点差を追う9回に8点を奪って逆転したが、その裏に投手不足から再逆転されてサヨナラ負けした。高校野球史に残る一戦だったが、途中降板した大田の印象は違う。「最後まで投げ切らないと野球は何が起こるか分からない」。大会後は課題のスタミナアップのために走り込んだ。ひと冬越えて体重は6キロ増えた。この日は9回にも145キロをマーク。「スタミナは問題なかった」。たくましくなって聖地に戻ってきた。
恵まれた体には無限の将来性を秘めている。巨人山下スカウト部長は「去年より馬力がついて、スケールはひと回り大きくなった。12人の入札候補(1巡目)に入る選手。フォークもいいし(元マリナーズ)佐々木タイプ。夏になればもっと良くなる」と期待する。
愛鳥家の父が、スズメの一種アトリから「阿斗里」と名付けた。豪快な投球とは裏腹に、素顔はあどけない17歳だ。江川の記録に並んだが「とっても光栄ですけど、どんなピッチャーかあまり分かりません」とジェネレーションギャップに苦笑いだった。
昨夏の早実に続く2季連続の東京勢Vに向けて最高のスタートを切った。それでも「ボールが浮くなど、まだ反省点がある」と気持ちを引き締める。早実・斎藤を引き合いに「並大抵の精神力と努力がないとあそこまではいけない」と高い目標に掲げた。一戦必勝で頂点を目指し、阿斗里が羽ばたいた。【前田祐輔】
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