7月23日付紙面
マー君いなくても駒大苫小牧V5
5連覇を達成した駒大苫小牧ナインは、なじみとなったNO・1ポーズで歓喜する(撮影・黒川智章)
| 駒大苫小牧Vへの足跡 | ||
|---|---|---|
| 室蘭地区 2回戦 |
4-1 | 鵡川 |
| 室蘭地区 3回戦 |
2-1 | 苫小牧南 |
| 室蘭地区 代表決定戦 |
7-0 | 室蘭大谷 |
| 南北海道 1回戦 |
8-1 | 北海道 尚志学園 |
| 南北海道 準々決勝 |
6-1 | 北照 |
| 南北海道 準決勝 |
9-2 | 北海学園 札幌 |
| 南北海道 決勝 |
15-0 | 函館工 |
<南北海道大会:駒大苫小牧15-0函館工> ◇7月22日◇札幌市
駒大苫小牧が函館工を15-0で破り、5年連続7度目の甲子園出場を決めた。応援に駆けつけた昨年のエース田中将大(現楽天)の見守る中、層の厚さで南北海道を勝ち抜いた。継投で勝ち上がってきたチームカラー通り、決勝も対馬直樹-久田良太-片山孝平(いずれも3年)で完封リレー。攻撃ではベンチ入り18人中17人が出場し、18安打15得点で決勝の最多得点を更新した。優勝、優勝、準優勝と3年連続で甲子園を沸かせた強豪は、史上初の4年連続決勝進出へ、第1関門を圧倒的な力で通過した。
9回から登板した3番手の片山が、函館工の最後の打者から見逃し三振を奪ってゲームセット。その瞬間、駒大苫小牧の先発9人のうちグラウンドに立っていたのは4人だけだった。
体を反転させて両腕を広げる片山に、真っ先に飛びついたのは8回表から一塁を守った五十嵐だった。不動の二遊間コンビ、小鹿と本多が続く。ベンチに下がっていた途中交代の8選手と樋渡は、マウンド目掛けて全速力で走った。18選手は体をぶつけ合いながら人さし指を空へ向かって突き上げた。
昨夏の甲子園メンバーは対馬と菊地だけ。中学時代に全国経験を持つ選手は多いが、ドラフト1巡目でプロ4球団が指名した田中や、全日本高校選抜の本間(現亜大)のような突出した柱はいない。そんなチームだからこそ、香田誉士史監督(36)は「(昨秋の地区)2回戦コールド負けをひっくり返そうと思ってやってきた。(選手は)優勝で自信が持てたのではないか」と喜んだ。過去のチームと比較され続けた選手は、敗戦を糧にのし上がってきた。
昨秋の室蘭地区2回戦で北海道栄に1-8で7回コールド負けした。試合後、香田監督は選手に問いかけた。「中途半端にやるならコールド負けが3点差になるくらいだ。勝つために必死にやるのか、やらないのか」。全国初制覇にあこがれて入学し、3年連続の甲子園決勝を見てきた世代。敗戦の悔しさを知らず、勝利に対する飢えや執念が不足していた。
柱の不在を選手層を厚くして埋めることで再び頂点を目指した。不足していた試合経験を補うため、冬も雪上で紅白戦を重ねた。代名詞となった雪上ノックを超える実戦練習。手を抜いたプレーが出ると「秋2回戦で負けてるんだ、しかもコールドだぞ」とゲキが飛んだ。100メートル11秒00の小鹿をはじめ、スピードある選手を生かすために走塁に力を入れた。
投手陣も互いに競い合い、絶対的なエースに匹敵する力をつけた。田中を擁した昨年、南大会優勝までの7試合で防御率は0・36だった。7試合中5試合を継投で勝ち上がった今年も0・61。対馬は「誰かの失敗を願うのではなく、仲良くも負けられないという気持ちでやってきた」と話す。決勝でも香田監督の「黄信号で代えてやればショックも少なくできる」という方針のもと、対馬-久田-片山のリレーで付け入るすきを与えなかった。
レギュラーは固定されず、打線は日替わり、投手の交代順もバラバラ。常に競い合うことで、レベルアップし続けた。この夏の登録メンバー提出の際、香田監督は「(登録を)25人くらいにしてほしい」と思ったという。この日も18人中17人が出場。8回に代打高橋が本塁打を放つなど交代選手も活躍し、18安打15得点。南北海道の決勝記録を塗り替えた。
さあ、5年連続の甲子園。昨夏の忘れ物を取りに行く旅は、これからが本番になる。林主将は「南北海道で1試合1試合成長したチーム。甲子園でも同じように成長していって勝てれば」と口元を引き締めた。深紅の大優勝旗奪還を目指す戦いは、8月8日に幕を開ける。【北尾洋徳】
▼駒大苫小牧は函館工戦の15得点で南北海道大会決勝最多得点を更新した。これまでは同じ駒大苫小牧(01年北海戦)と東海大四(76年室蘭大谷戦)の13点。南大会決勝の2ケタ得点は59年の南北分離後7度あり、駒大苫小牧は01年、昨年の札幌光星戦に続き3度目。
▼南北海道5連覇の駒大苫小牧は98~07年のここ10年で6度優勝(準優勝なし)。北海が62~71年に7度優勝、2度準優勝しているのに次ぐ好成績となった。北北海道では旭川龍谷が71~80年に4度優勝、4度準優勝という黄金期があった。



