早実佑ちゃん完封、V宣言/夏の甲子園

- 勝った早実の斉藤(左)は負けた鹿児島工の今吉のガッツポーズに笑顔を向ける
<全国高校野球選手権:早実5-0鹿児島工>◇19日◇準決勝
クールなエースが熱く、夏初Vを目指す決勝進出を決めた。早実(西東京)・斎藤佑樹投手(3年)が、準決勝の鹿児島工戦で毎回の13三振を奪い、散発3安打、無四球完封。マウンドで珍しくガッツポーズをつくるシーンもみられる熱投だった。今日20日午後1時プレーボールの決勝の相手は、プロ注目の田中将大投手(3年)を擁し夏3連覇を目指す駒大苫小牧。好投手対決となるが、1回戦から5試合、45イニングを投げ抜いてきた鉄腕は「勝てる自信はあります」と強気に語った。
珍しく、熱くなった姿をみせた。6回2死二塁。斎藤が、こん身の1球をインハイへ投げ込んだ。打席には鹿児島工の代打の切り札・今吉晃。この日最速の145キロ直球で、空振り三振に仕留めた。「ヨッシャー」。その瞬間、ガッツポーズも固めた。4万9000大観衆からは、直球主体の真っ向勝負に大歓声があがった。
「僕はクールと言われるけど、男なんで、気持ちの戦いと思っています。絶対に負けられません」。試合前、感情むき出しにプレーする今吉晃との対照を指摘され、斎藤は熱く口にしていた。秘めた思いを直球に込め、敵のムードメーカーを料理した。流れを渡すことなく、散発3安打、毎回の13奪三振。今春センバツ1回戦の北海道栄戦(7-0)以来の完封で、決勝進出を決めた。
今大会、斎藤はほぼ1人で投げ抜いてきた。1回戦こそ先発→右翼→再登板と1度だけマウンドを離れたが5試合45イニング、計652球を投げ、全135アウトを1人で奪取。複数投手の登板が一般化した近年、その鉄腕ぶりは群を抜く。準々決勝からの連投、今日20日の決勝で3連投にも「疲れはありません」と言い切った。今春センバツでも2回戦の関西戦、引き分け再試合、準々決勝の横浜戦と3連投。だが、横浜には3回6失点と打ち込まれた苦い経験がある。
スタミナ不足を痛感した春、甲子園から戻るとグラウンド裏の山道コースを走り込み、スクワットにも取り組んだ。徹底した下半身強化でスタミナを身に着け、さらに右足に重心を乗せる投球フォームへと改造。球速が4キロ増し、最速149キロとなった。「明日(3連投となる20日)の決勝は自分へのリベンジです」。過去の自分への、雪辱の時でもある。
斎藤の進化も止まらない。今大会5試合を投げ抜く中で、状況や打者により、いい意味で力を抜くコツを覚えた。「投手として成長していると思います」と自画自賛。決勝の大一番で集大成を披露するつもりだ。
しかも相手は、3連覇を狙う駒大苫小牧。昨秋の明治神宮大会準決勝では、エース田中と投げ合い3-5で敗れた。ここにも、大きなリベンジの材料がある。「田中君は明治神宮大会のころの良い投球をしていない。勝てる自信はあります」。そして「甲子園に来たときからいずれやるチームだと思っていた。3連覇を止められるのは、僕たちしかいない」と必勝宣言も出た。
早実の決勝進出は、荒木大輔(現西武コーチ)を擁した80年以来26年ぶり。斎藤は中学の卒業文集で「荒木2世になる」と書いた。その先輩は、決勝で敗れている。「明日も勝って、荒木先輩を追い抜きたいです」。クールに抑え続ける姿だけが、斎藤ではない。強気のエースが深紅の大優勝旗を持ち帰ることを誓った。【古川真弥】
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