鹿児島工初出場で4強/夏の甲子園

- 延長10回表、鹿児島工の鮫島は中越えに決勝本塁打を放つ
<全国高校野球選手権:鹿児島工3―2福知山成美>◇18日◇準々決勝
初出場の鹿児島工(鹿児島)が、福知山成美(京都)を下し、県勢7年ぶりの4強進出を果たした。同点で迎えた延長10回。主砲・鮫島哲新主将(3年)がバックスクリーンに運ぶ勝ち越しソロを放ち、エース榎下陽大(3年)の2試合連続完投勝利を演出する好リードで相手の反撃をかわし、九州勢としても7年ぶり4強。19日には、早実(西東京)と決勝進出をかけて激突する。
頼れるチームリーダーが、ひと振りで決めた。鹿児島工・鮫島だ。延長10回表2死。外角スライダーをたたいた打球は、バックスクリーンに飛び込む特大の勝ち越しソロ。「自分で決めようと強い気持ちをもって思い切り振った」。あこがれのマリナーズ城島ばりのフルスイングが、チームを4強に導いた。
攻守に存在感を示した。相手の強力打線に内角攻めの強気のリードでエース榎下を引っ張った。10回を10安打2失点、2試合連続の完投勝利をサポート。「相手は外角の直球を狙っていたので、内角を中心に攻めました」。140キロの直球と98キロのスローカーブを巧みに織り交ぜ、最大42キロの緩急差で、的を絞らせなかった。
鮫島は春先に肺炎で約2カ月間、戦線離脱した。鮫島抜きで臨んだ春の県大会では鹿児島商に準々決勝で敗れた。チームは大黒柱を失い、まとまりを欠いた。「長い間、チームを離れて迷惑をかけた。夏は成果を出さないといけないと思った」。6月に復帰した鮫島は、それまで500回だった2キロの鉄バット・スイングを1000スイングに増やし、雪辱に燃えた。
中迫俊明監督(47)は、人目をはばからず泣いた。「打った瞬間『神様(スタンドに)入れてください』と思っていた。しびれました。ここまで来るとは…」。鹿児島県勢では99年の樟南以来、7年ぶりの4強進出。感無量だった。鮫島の父哲郎さんは、中迫監督と同じ玉竜高野球部出身。03年に鹿児島工に異動した中迫監督に「ウチの哲新をお前に預ける」(哲郎さん)と、強豪校からの誘いのあった鮫島を預けた。人情味あふれる泣き虫監督の下で成長した男は、恩返しの一撃で応えた。
19日には、決勝進出をかけて早実と対戦。ともにOBにはソフトバンクの王監督(早実)と川崎(鹿児島工)を持つ不思議な縁もある。ナインは5月に鹿児島市内で招待試合で早実戦を3試合観戦した。「(相手エースの)斎藤君はウチでは手も足も出ない。あんなチームが甲子園で上位にいくんだろうと思っていた。そんなチームとやれるのは奇跡です」(中迫監督)。無印軍団を率いる鮫島は鹿児島弁で「ここまできたら、なんつぁならん(どうにもならない)」と、笑顔で腹を据えた。【浜崎孝宏】
◆鮫島哲新(さめしま・てっしん)1988年(昭63)4月19日、薩摩川内市生まれ。隈之城小2年のとき隈之城ソフトボール少年団に入り、小4から鶴峰小ソフトボール少年団に所属。月野中軟式野球部では中2のとき県大会4強。好きな選手は横浜多村、マリナーズ城島。趣味は音楽鑑賞。50メートル走6秒7、遠投95メートル。180センチ、87キロ。右投げ右打ち。
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