大阪桐蔭中田、怪物が泣いた

- 12回、右翼の守備位置で早くも涙ぐむ大阪桐蔭の中田翔(撮影・前岡正明)
<高校野球大阪大会:大阪桐蔭4-3金光大阪>◇7月31日◇舞洲◇決勝
怪物が泣いた。大阪大会の決勝で、大阪桐蔭の中田翔外野手(2年)は延長12回、左前打で出塁し、決勝のホームを踏んだ。スコアボードに「1」をともらせ、歓喜の瞬間はすぐそこにあった。それでも、中田は待てない。12回裏、右翼の位置で何かが込み上げてきた。「なぜだか分からない」。視線の先がかすむ。右手で何度もぬぐった。最後の打者が二塁へフライを打ち上げる。「1番早くに(エースの)松原さんのところに行きたかった」。今年の夏も甲子園に行ける。真っ赤な顔でマウンドに走った。
描いた5本のアーチよりも、たった1本のヒットがうれしかった。先頭打者で迎えた12回表の攻撃。低めのスライダーに食らい付き、三遊間を破った。「とにかくチームのためになりたかった」。開幕から4戦連続5本塁打を放ち、ひと振りに注目が集まった。「ホームランは狙わず、右方向を意識する」。そんな言葉を繰り返したが、内心では重圧がのしかかっていた。相手投手の攻めも厳しくなる。打撃が次第に崩れた。5回戦から1発はおろかクリーンヒットも減った。
この日も初回から2打席連続で三振を喫し、7回にはスリーバント失敗。「相手のミスでもいいから、塁に出たい」。12回の打席はとにかく無心でバットを振った。7打席ぶりの快音。そして犠打と遊ゴロで三塁に進み、同じ2年生で同部屋の7番丸山貴司の右前打で決勝のホームを踏んだ。
先発の松原靖幸(3年)が12回を1人で投げ抜き、6回の2得点は下位打線でもぎ取った。投打で試合を決めてきた怪物スラッガーが全員野球の強さを知った。閉会式でも涙が止まらなかった。「甲子園でまた戦える。去年のベスト4は意地でも塗り替えたい」。苦悩のときを乗り越え、中田が1年ぶりに聖地に帰る。【田口真一郎】
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